2021年12月に介護士の給料が9000円上げることが正式に決定され、2022年2月から給付が始まることになりました。10月までは交付金で賄い、10月以降は介護報酬の中で調整していくこともきまっていますが、ぬか喜びで終わる可能性もありそうです。今回は9000円アップの対象や方法を解説していきます。自分が勤めている施設が対象なのか、対象だったとして介護職まで行き渡るのか、そのヒントにして頂けたらと思います。
どんな施設が対象となるのか
給付の対象となるのは「介護職員処遇改善加算」のⅠからⅢを算定している事業所となっており、給付はその事業所の介護職の人数分のみとなることが決まっています。居宅介護支援や地域包括支援センター、訪問看護、訪問リハ、福祉用具貸与などはこの加算がありませんので対象外となります。
介護職処遇改善加算って何?
介護士の給料や職場環境の改善に取り組んでいる事業所に対して支給される加算で、2012年から介護業界の人材不足対策として開始されました。
この加算は研修制度や職場環境、給料体系の整備、経験や所持資格に応じた昇給の仕組みなど、職員の為の取り組みを行っている事業所が取得することができます。その取り組み数に応じて評価され、介護報酬が上乗せ支給されています。
対象施設だったとしても素直に喜んではいけない
介護施設には介護職だけではなく、リハビリ職や相談員、栄養士などの多職種の職員が一緒に働いていますよね。
給付されるにあたり、分配ルールについて政府は「介護職以外の職員の処遇改善にも柔軟な運用を認める」としており、このような多職種への分配の可能性も分配ルールの中で触れています。
ということは介護職の人数分の給付金を介護職だけじゃなくて多職種の職員も含めて分配する可能性があるということで、つまり介護職からすれば1人当たり9000円を下回ることになります。
リハビリ職が現場の介護によく入るという場面もあるので、介護職員のみの分配は職場内の軋轢を生むのではないかという不安も事業所の経営陣にはあるようです。同じ仕事をしているのに支給される人と支給されない人がいるということは何かしらの悪影響がありそうな予感がしますね。
このことから一番ラッキーなのは本来なら対象の職種でないけど、事業所の柔軟な運用によりもらえることになる職員ですね。当人からすればもらえないはずのものがもらえることになったのですから、思わぬ幸運といったところでしょうか。
がっかりしない為のヒント
介護職への分配方法は施設の経営陣の判断によってしまう為、労働者がどうこうできることではないことを理解して、あまり期待しすぎないことです。9000円未満であったとしても「少しでも上がるならいいか」みたいな軽い受け止め方をしておくと、実際分配されたときに結果を受け入れやすくなると思います。