介護の仕事

介護士の給料9000円アップは実際介護業界にいい効果を与えることができたのか

2022年2月から行われているはずの介護士の給料9000円アップ。
本当に9000円増えたのか。
増えたとして介護士たちはどう感じているのか。
この9000円アップは今後なくなったりしないのか。

期待と不安が大きく入り乱れるこの話題、不安というより失望のほうが大きい介護士も多いかもしれませんが、この9000円アップの施策が介護業界にどのような影響を与えたのか解説していきたいと思います。

ちなみに私は2月~4月の給料明細を見たところ変わりないですし、経営側からも特にお知らせがないので岸田総理の施策の恩恵は受けることができていません。

そもそも介護職員処遇改善支援補助金とは

岸田総理が打ち出した介護士の処遇改善策はまずは2022年2月から給料の3%相当を賃上げするという内容でした。この3%相当額が9000円ということです。

9月まではこの介護職員処遇改善支援補助金という形で支給され、10月以降は違う形で賃上げが継続するされています。

支給条件や支給方法も決められていますが、岸田総理の言葉だけ聞くと介護士全員が9000円賃上げされると誤解してしまうかもしれませんね。

では、条件や支給方法も確認してみましょう。

支給条件

受給条件となっているのは介護職員処遇改善加算Ⅰ~Ⅲを取得している事業所、いわゆる現場の介護職員が対象となっている為、居宅介護支援事業所などの職員は貰うことができないとされています。具体的には居宅ケアマネや訪問看護師あたりでしょうか。

支給方法

支給方法は事業所に配分が一任されています。どの職種にどれくらい支給するのかは事業所の判断によるので、介護士ではない職員も均等に支給される可能性や同じ法人などであれば対象外のケアマネも支給される可能性があります。

2022年9月までは補助金という形で事業者が申請をして受け取り、職員に分配することとなっていますが、10月以降は介護保険の中で何らかの形で処遇改善をしていくとされており、その具体的な中身についてはまだ検討段階ではっきりとはわかっていません。

支給が始まってどうだったか

結論としては9000円アップした介護士は私の周囲には全くおらず、9000円未満での支給やそもそも支給されていないという方がほとんどのように感じます。

●9000円アップした事業所
私や友人の周囲の介護士には9000円アップした人はいない…

●支給されたけど9000円未満だった。
事業所に分配方法が一任されている為、介護士でない人にも分配されて、介護士の取り分が少なくなったパターンですね。このパターンが最多ですね。介護士からしたら「なんで事務員にも?」とか思ったりするのかも。なんだかモヤモヤする支給パターンかもしれませんが、事業所側も介護士以外の職種のモチベーションを落ち込ませない為といった理由でそういう対応をしたことろが多いみたいです。

今回の処遇改善の目的が介護士の処遇改善ということでしたから、いくら事業者に分配方法が一任されていて他職種への分配を認めていても、介護士からしたら納得いかないのは当然かもしれません。

他職員のモチベーションの前に肝心の介護士のモチベーションが落ち込みそうですが…
パートの職員に関しては時給が10円とか20円上がったと納得いかない方が多いようです。

9000円未満となってしまう理由については

・配置基準以上の職員数がいる場合。
・介護職以外の職員にも分配している場合。
・施設の種類によって交付金の金額が変わってくる為。

といった理由が考えられます。

●処遇改善加算とってるのに支給されないパターン
9月までは事業所が申請して事業所経由で至急される為、申請していなかったり、事業者が分配していなかったりと介護士への支給に至っていないといったことが起きています。事業所から支給についての何のアナウンスもないというところが多いようにも感じます。

まだ支給されていない理由として考えられることは
・補助金の申請をしたが、まだ補助金が施設に入っていない。
という理由が考えられます。

まとめ

9000円には至らずとも支給された方は多いようですが、満足のいく金額ではないですし、モチベーションは逆に下がってしまったという介護士が多いように感じます。

そもそも年収を見ても月9000円アップでは他産業にまだまだ追い付かない金額です。

なのに実際は支給があっても9000円に満たないし、介護士の為の補助金なのに介護士以外の職員に分配されたり、そもそも支給すらないところも多いのですから、それはモチベーションも上がりませんね。

ただ施設側としても他業種の職員のモチベーションを下げたくないということから他職種にも分配したり、補助金の申請をしても施設側にお金が入るのは数ヶ月先で分配がそもそも困難だったりと苦労があるようです。

お金がないのに分配なんてできませんからね・・・。
補助金入るの遅いのに、国からは介護士の処遇を改善しろ。介護士からは2月から始まるはずなのに給料上がらないと、サンドバッグ状態。経営側も悩みが大きそうです。

介護士のモチベーション低下は離職にも繋がる大きな要因の1つですから、介護士の処遇改善策は今回もうまくいったとは言えないと思えてなりません。
実際、私の職場では今回で少し給料が上がるならと期待して待っていたのに結局期待外れで心折れて離職してしまった職員がいました。

最近は経済難から物価も上昇傾向にありますし、今後も処遇改善が中途半端なままだと、逆に離職者が増えてしまうことも考えられます。やりたい仕事であっても生活できなければ、介護士より給料のいい仕事を選ぶ人がでてきても不思議ではありませんよね。

岸田総理の熱烈アピールは介護士も期待してしまった方が多いと思いますが、今回の処遇改善の具体的な仕組みの説明があまりなされず「9000円アップ」という広告に埋もれてしまっただけに、介護士も事業者も期待を裏切られ、介護士ではないのに恩恵を受けられた職員がよくわからないけど得をするという形となってしまったかと思います。

10月から介護保険の中での処遇改善という形で行われ、岸田総理も「今後も継続的に介護職員の賃金を向上させていく」という旨の発言をされていますが、そのことは嬉しいことだと思います。

今後も高齢化が進んでいくのは確実ですから、高齢化社会を支える介護士の処遇改善がしっかりなされれば、担い手も増えてくると思いますので、今後岸田総理が介護士の処遇改善を進めてくれることを期待したいですね。

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