介護の仕事

介護施設でセンサーを設置しすぎることの危険性

こんにちは、介護士わい(@ys_kaigo)です。
高齢者の転倒などを防止する目的でよく使用されるセンサーですが、設置しすぎてピーピーいろんなところでセンサー音が鳴っている施設も多いようですね。

でも集団生活下でセンサーの設置数が多くなると逆に利用者さんを守りにくくなる状況が必ず生まれます。
安全の為のものがどうして危険になってしまうのか、今回はその「何故?」を解説していきます。

施設でよく使用されるセンサー

老人ホームでよく使われるセンサーには2種類あります。

●ベッド内蔵型のセンサー
ベッドで横になっていて起き上がろうとした時の起き上がろうとする動きを感知して連動しているナースコールが鳴るというセンサー。

歩行に介助が必要で、一人で歩いてしまうと転倒するリスクがあるという方に対して、単独で歩かれてしまう前に職員が介入できる為に使用されることが多いです。

●マットタイプのセンサー
床に敷いてマット上を踏んだりして重さが加わると作動するナースコールと連動しているタイプと座面に敷いて立ち上がるなどマットにかかる重さがなくなった時に作動する電池式のコンパクトなタイプがあります。どちらもベッド内臓センサー同様転倒してしまう方が歩き出してしまう前に職員が介入する為に使用されます。

センサーを使用しているから大丈夫という考えは大きな間違い

センサーは利用者の危険を事前に感知するものであって、転倒などの事故を無くすためのものではありません。センサーを設置したからといって、事故が無くなることは絶対にありえません。

基本的にベッド内臓センサーやマットセンサーはナースコールと連動しています。
例えば、歩行が不安定で介助が必要なのにベッドから起き上がってすぐ歩き出して転倒の危険がある利用者さんがいたとします。

この方個人のことだけを考えると、起き上がりを感知したらすぐにセンサーが反応する設定にしますよね。でも特養の集団生活下ではほかにも利用者さんがいて、同じように転倒リスクのある利用者さんが何名かいるでしょう。夜勤中など職員数の少ない時間やワンオペであれば、同時にセンサーが反応したとき、すごく焦ると思います。

転倒要注意の方もセンサーが2つも3つも同時に作動していたら、どうしますか?
職員は1人なのにすぐに介助しなきゃいけない利用者が複数人、この状況絶望的ですよね。センサーを設置することで危険を察知することはできますが、介護のプロだとしても事故を防ぐことは不可能なのです。

センサーの設定とそのデメリット

最近のベッド内臓センサーは細かい設定ができるようで、起き上がる動作を感知してからセンサーが作動するまでの時間も選べるようです。起き上がり〇秒後、とか。一番早くて起き上がり動作を感知した直後になる設定があります。

「歩き出したら危ないんだから、作動は早いんほうがいいんじゃない?」

そう思われる方もいるかもしれませんが、起き上がり感知直後の設定だと、寝返りだけでも作動することが多いです。私も夜勤中、センサー作動があって急いで駆けつけたのに、ぐっすり寝ていたということがよくありました。ただ本当に介入が必要な場合ももちろんあるので、センサー作動があったら様子を見に行かないわけにはいきません。

本当にそのセンサー設定であっているのか

センサーが過度に反応しすぎずに転倒を防げる環境設定にすることがセンサーを検討した際の課題かと思います。
例えば・・・

  • センサー作動しても寝返りばかりなら設定を変えてみる
  • 起き上がるけど歩き出しはしない方にはベッド内臓センサーからマットセンサーにする

このように介入の要らないセンサー作動を少なくする工夫がセンサーを検討する上でものすごく重要になってきます。
なぜかというと、本当に介入が必要なセンサー作動に駆けつけやすい環境作りと職員の負担軽減のためです。センサー作動があっちもこっちもという状況では、職員の動きも多くなり職員の負担も多く、センサー作動が重なる分事故のリスクが高まります。

最後に

高齢になると身体能力が落ちやすく、ちょっとした転倒で大怪我になることもあります。ただ上記のように安全を意識しすぎると逆に危険になります。施設では集団生活下ですので、センサー設置が最適なのか、設置するとすればどんな設定が最適か、利用者さんの様子をみながら臨機応変に対応していく必要があります。

センサーの作動頻度を減らして転倒を防ぐためにセンサーの種類を変えたり、センサー以外のものを使用するなど、ぜひ考えてみてください。

転倒なんて身体能力バリバリの若者でもありますから、高齢者の転倒はどんなに気を付けていても起こります。転倒を防ぐことだけに拘らず、転倒事故が起きても適切な対応ができていれば問題ありませんので大切なのは起きてしまった後の対応です。