2022年の2月から介護士・看護師・保育士の給料が9000円程増額されるという岸田総理の政策がありましたが実際に皆様はいくら増え、この処遇改善をどう思われたのでしょうか。
9000円増えた方はほとんどいないのではないでしょうか。中には増えてすらいない方もいるのではないでしょうか。
私が勤めている法人は4月になった今も増えてなく、給料明細を見ると、また上げる上げる詐欺なのか・・・と切なくなります。
介護士の給料水準は未だ低く、満足されている方が多くないのが事実。今回は国による処遇改善以外の方法で給料を上げる方法をまとめてみました。
他産業と介護士の平均年収
国税庁の令和2年度民間給与実態統計調査では全産業の平均年収は433万円となっています。
では介護士はどうでしょうか。
令和元年 平均月収 | 令和2年 平均月収 | 令和2年 平均年収 | |
介護士(常勤) | 300,120円 | 315,850円 | 3,790,200円 |
介護士(非常勤) | 189,200円 | 196,630円 | 2,359,560円 |
相談員(常勤) | 332,980円 | 343,310円 | 4,119,720円 |
介護支援専門員(常勤) | 347,460円 | 357,850円 | 4,294,200円 |
参考)令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果
令和2年度の調査ではどの職種も月1万円程、給与が上がっていますね。ただ、令和元年以前の調査結果(ここには載せてませんが・・・)を見ても年々少しずつ給与が上がってきてはいますが、十分な処遇改善に至っていないことも事実です。
あくまで「平均」という統計上の数字ですが、その数字上でも介護士の給与は日本人の平均年収よりも低いということが分かります。
給料を上げる方法
限界はありますが、国の処遇改善を期待せず、自力で上げる方法はあります。大きく4通りの方法があるんじゃないかなと思います。
手段① 手当てを増やす
給料明細を見ると大体記されていますが、介護施設での手当というと処遇改善手当、夜勤手当、資格手当がありますよね。これらは事業所によって支給額が異なり、給料に大きく影響してきます。
夜勤手当が支給されても決して高い手当とは言えませんし、資格手当・処遇改善手当については支給されない施設もまだまだ多いです。資格手当は5000円程度が多いですが、処遇改善手当は低くても10000円を超える為、支給の有無で少なくとも年間10万ちょっとはが出ることがあります。
【処遇改善手当】
直接介護に携わっている介護職に支給される手当です。処遇改善手当は介護職の賃金改善と雇用の安定を目的として作られた制度で、平成21年から介護職員処遇改善交付金、平成24年から介護職員処遇改善加算という形になっています。処遇改善加算はサービス料に上乗せして請求され、その収入を職員に還元するために作られた加算です。
加算は事業所の規模や処遇改善の取り組みによって加算率が異なり、支給方法は事業所に一任されている為、支給方法や金額は事業所によって様々で、毎月支給するところもあれば、年のどころかで一括支給するところもあります。中には加算を取っていても職員に還元していないところもありますのでこれから転職や福祉業界に勤める予定の方は入職する前に確認しておいたほうがいいです。
私が以前勤めていた法人では、施設費として設備整備に回され、職員には還元されていませんでした。そういう施設は多いようで、労働環境がしっかり整備され、職員の負担が軽減されているのであればいいという職員もいるかもしれませんね。
私の知人の施設では施設の設備費となり職員への還元はなく、設備費という名目でありながら機械浴や車いすなど故障や不具合が多く、介助以外でのストレスが多いそうです。機械浴のストレッチャーの昇降ができないとか、チルトリクライニング車いすがリクライニングしたら戻らなくなるとか・・・。
【資格手当】
法律で支給が定められていない任意の手当です。福利厚生の一種なので資格によって支給されないところもあれば、複数資格所持でも同一金額の支給であったりと、事業所によって支給方法、金額ともに異なります。
中には勤続年数が増えていくにつれ資格手当の金額が減っていくなんてところもあるようです。最終的には支給が無くなるなんて、酷い話ですよね・・・。
これ、実は私が今勤めている施設のことなのですが、徐々に減額されて15年くらいで資格手当の支給が0円になるんだったような。
狙いやすい資格としてはやはり介護福祉士でしょうか。
【夜勤手当】
これも法律で支給が定められていない任意の手当です。夜勤1回につき○○円という形での支給が殆どですね。任意なので支給されない施設ももしかしたらあるかもしれませんが、介護士は5000円前後での支給が多く、地方や一部の首都圏では5000円を下回るところがあるようです。
私が知る範囲で3000円が最低で、最高が1万円ですね。3000円未満のところはあるのでしょうか?
手段② 出世(管理職になる)
管理職になることで業務のマネジメントや雑務、事務が増えますが、基本給が上がったり、別途手当てが出ます。
現在の職場に長く勤めるつもりであれば管理職への道も給与アップの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
手段③ 転職
手当ての部分と少し被ってしまいますが、手当ての支給が多い職場などより給料の良い職場に転職することで一時的に年収が落ちる可能性はありますが、長く見ると良い待遇にすることが可能です。
給料面は面接などの際に確認しづらいと思いますが、そのような場合はエージェントに頼ることをおすすめします。施設の内情や細かい部分の確認など、自分では難しいことでもエージェントを通すことで知ることができる可能性があるからです。
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手段④ 副業
現在は国が副業を推奨していますが、何故か福祉業界って副業NGと就業規則に載せてるところが多いんですよね・・・。
私が現在勤めているところも就業規則に副業について記載があるのですが、雇用されるタイプの副業は禁止という内容で書かれています。
就業規則に1つ違反したからといって解雇になることはまずないと思いますが、就業規則に反しない内容の副業ができれば、本職で身体を壊した時なんかの不安も軽減されて生きやすくなるのかなと思います。
今の時代、色んな副業がありますし、SNSで急にDMが飛んできたりということも多いと思いますが、「楽して稼げる」は大体嘘だと思ったほうが良いです。
稼いでいる人の「楽」と庶民の「楽」に違いがあることもそうですが、成果の裏には何かしらの努力が隠れています。挫折しないためにも、何か始めるのであれば「楽に稼げる」と思い込まずに挑戦してみてください。
最後に
10年ほど前から介護士の処遇改善は政策に盛り込まれていましたが、実際に処遇改善の恩恵を受けることができているのは一部だけのように思います。全くされていないわけではなく、年々少しずつ上がってきてはいるものの十分な処遇改善に至っていないのは事実ですし、今後も大幅な処遇改善は期待できないと思う介護士が多いことと思います。
2025年問題が3年後に迫っており、超高齢化社会が止まることはまずないですし、働き世代への負担は今後も増していくことが考えられます。高齢者が増えて若者が減っているので、働き世代の負担が減ることはないと考えておいたほうがいいでしょう。
今後も働き世代にとって厳しい社会となっていく中で自分や家族の生活をどのように守りながら働いていきたいのかで選択肢も異なるかと思いますが、現在の職場で頑張るのか、新天地を求めるのか、収入の柱を増やすのか、どれを選んでも間違いということはありません。転職も今や売り手市場ですし、副業も色んなリスクがありますから、焦らず自分にあうものを選んでいくことができるよう願うばかりです。